60代の片づけは、何から始めればよいのでしょうか。気になる場所はいくつもあっても、家の中を見渡すと、どこに手をつけるか迷うことがあります。
私が考えているのは、今のうちに物の量や収納を見直して、この先の管理を軽くすることです。必要な物を探しやすく、使ったあとに戻しやすく。家族などに頼むときにも、どこに何があるか伝えられる家に整えたいと思っています。
体調や暮らし方、片づけに使える時間は人それぞれです。まずは、片づける理由を自分の暮らしに重ねながら、最初に見直す小さな場所を一つ選んでみませんか。
なぜ片づける?毎日の負担と、これからの管理を軽くするため
出し入れ・掃除・探し物の手間を減らしたい
必要な書類を探して、何冊もファイルを開く。奥の物を取るために、手前の物をいくつも動かす。掃除のたびに、床や棚の上の物をよける。こうした場面があるなら、その手間が見直しの手がかりになります。
物の量だけでなく、置き方や戻し方にも目を向けてみます。よく使う物を選びやすくしたり、戻すまでの手順を少なくしたりすることも、片づけの一つです。
通り道に物がある場合は、歩く場所を確保することも大切です。消費者庁も、家庭内の転倒事故を防ぐため、床になるべく物を置かず、足が引っかかりやすい物を減らすよう案内しています。
参考:消費者庁「高齢者の家庭内での転倒事故に注意しましょう!」
大切な物を使い、楽しむ時間を残したい
好きな服や食器、趣味の道具など、これからも暮らしの中に残したい物があるかもしれません。片づけを考えるときは、そうした物をどのように使いたいかも出発点になります。
気に入った器を取り出しやすくする。趣味の道具を、始めるときにそろえやすくする。大切な物のために場所を整えると、「何を残したいか」「周りの物をどうするか」を考えやすくなります。
思い出のある物など、使う回数だけでは決められない物もあります。残す理由を自分で確かめながら、扱いやすい量と置き方を考えていきます。
必要なときに、家族や身近な人へ頼みやすくしたい
自分にはわかる置き場所でも、ほかの人が探すときには迷うことがあります。たとえば保険や契約の資料は、将来、家族などが確認する場面も考えておきたい書類です。
何の書類かがわかる見出しを付け、保管場所を伝えておく。必要な情報にたどり着ける形に整えることも、これからの管理を軽くする準備になります。
手伝ってもらえる相手がいる場合には、収納を変えるときに一緒に確認する方法もあります。誰と、どこまで共有するかは、自分の暮らしに合わせて決めていきます。
なぜ今?自分に合う方法を、少しずつ試せるうちに
暮らしの人数や家事の分担、使う物は変わることがあります。以前は便利だった収納でも、今は出し入れが面倒だったり、必要な物が選びにくかったりするかもしれません。
そこで、気になる負担がある今、手をつけられる範囲で見直しておく。小さく試せば、実際に使ってから「この位置は取りやすい」「この分け方は戻しにくい」と確かめ、調整できます。
動けるうちに見直しておくよさは、残したい物を自分で選び、暮らしに合う方法を試し直す時間を持てることです。保管場所や残す理由がわかるようにしておけば、この先、誰かに手を借りるときにも希望を伝えやすくなります。
川崎市多摩区の整理収納コラムでも、これから使う物や大切な物を考え、時間や体力に余裕のあるうちに少しずつ進めることが勧められています。
参考:川崎市多摩区「【片づけで叶える】人生後半の身軽で快適なくらし方(5)」
ここでいう「今」は、体調や予定に合わせて、小さく取りかかれる時期です。作業が負担になるときは、残したい物や困っている場所を考え、手伝ってもらう内容を決めるところからでも始められます。
一つの引き出しや一製品分の書類なら、使い心地を確かめながら進められます。少しずつ選び直す時間を持つことが、この先の自分に合う家を考える助けになります。
「自分で管理できる家」は、探せて、戻せて、人にも伝えられる家
私が目指す「自分で管理できる家」は、必要な物やその置き場所を把握でき、必要なときには人の手も借りられる家です。そのために、次の三つを目安にしたいと思っています。
- 探せること。どこを見ればよいか、ラベルや見出しからわかる。
- 戻せること。使ったあとに、迷わず無理なく同じ場所へ戻せる。
- 伝えられること。必要な物の保管場所を、家族などに説明できる。
紙類なら保管場所を一か所にまとめ、中身がわかる文字のラベルを付ける方法があります。細かく分類することが負担なら、分ける数や、開け閉めする手順を減らすことも考えられます。
収納用品を選ぶ前に、「何を探しにくいのか」「どの動作が面倒なのか」を一つ確かめてみます。困る場面がわかると、物の量を見直すのか、置き場所や入れ物を変えるのか、試す方法も選びやすくなります。
60代の片づけは何から?5つの分野から考える
見直す候補を、紙類、衣類、台所用品、日用品とストック、思い出の品・趣味の物の五つに分けてみました。進める順番は、自分が今いちばん負担を感じているものから選んでください。
1.紙類|必要なものを探せる保管に
私がまず見直しているのも、書類の整理と保管です。ファイルに入れていても、どこに何があるかわからず、探すのが大変でした。
取扱説明書では、家電のそばへ持ち出し、時間が空くと元の細かなポケットへ戻すのが億劫になることもありました。そこで、薄いものはフォルダー、厚いものや部品付きはケースへと使い分けています。ケースは開け閉めや出し入れがしやすく、そのまま収納へ戻せるのが楽だと感じました。
書類は、使う場面や一緒に保管したいものに合わせて、次のように分けて考えられます。
- 1-1.取扱説明書:保証書や付属部品と一緒に、一製品分で考える
- 1-2.領収書・購入を確認する書類:何のために残すかを確かめる
- 1-3.保険の書類:必要な情報や連絡先を探せるようにする
- 1-4.年金・税金に関する書類:書類の種類と使う目的を確認する
- 1-5.住まい・通信などの契約書類:どの契約のものか、見出しでわかるようにする
- 1-6.医療・健康に関する書類:必要な場面で取り出せるようにする
書類全体の分け方や保管場所から考えたい方は、「60代の書類整理は何から?探しやすく、家族にもわかる保管の始め方」をご覧ください。
取説の使い分けは、「取扱説明書の収納方法|フォルダーとケースで探しやすく、戻しやすく」にまとめています。
必要か判断できない書類は残しておき、保管する理由や確認先を確かめてから扱います。
2.衣類|今着たい服を選び、戻しやすく
服を探すのに時間がかかる、洗濯した服をしまいにくい。そんな場合は、普段着を入れている引き出しの一段などが候補になります。
普段着、下着や靴下、季節の服、特別な日に着る服では、出番や残す理由も違います。まずはよく使う一か所で、選びやすさと、しまうときの余裕を確かめてみます。
3.台所用品|取り出す・洗う・戻す負担から
食器や鍋、保存容器、調理道具は、料理から後片づけまでの動作を思い浮かべて考えます。重ねた物を持ち上げないと取れない、洗ったあとに戻しにくい、と感じる場所が手がかりです。
よく使う器を置く棚の一角など、日々触れる小さな場所から。残したい食器や料理の楽しみも大切にしながら、取り出しやすい量と置き方を試します。
4.日用品とストック|何がどれだけあるか、見渡せるように
洗剤や紙製品、洗面用品などは、残っている量がわかりにくいと、買うかどうかを判断しにくくなります。まずは同じ種類のストックがどこにあるかを確かめることから考えます。
買い物の頻度や防災の備えによって、必要な量は変わります。手元にある物を確認し、次に使う物を取り出しやすくする方法を選んでいきます。
5.思い出の品・趣味の物|残したいものを、楽しめる形で
写真や手紙、記念品、趣味の道具などは、気持ちが動いて判断に時間がかかることもあります。最初の片づけで迷うなら、別の場所から始める選び方もあります。
ここを見直したい場合は、写真を入れた小さな箱一つなどに範囲を区切ってみます。残したい物を確かめ、見返したり使ったりするときに、取り出せる形を考えていきます。
最初の一歩は、負担を感じる小さな場所を一つ選ぶこと
始める場所を決めるときは、「どの部屋を全部片づけるか」よりも、いつ、何に困っているかを一つ思い浮かべてみてください。
| 困っている場面 | 最初に見直す範囲の例 |
|---|---|
| 取説を探す・戻すのが大変 | 一製品分の取説と関連書類 |
| 普段着が選びにくい・しまいにくい | よく使う引き出しの一段 |
| 食器を取り出すたびに重ね直す | よく使う器を置く棚の一角 |
| 洗剤の残りがわからない | 一種類の洗剤と、その詰め替え |
| 写真を見たいのに取り出しにくい | 写真を入れている小さな箱一つ |
小さく区切るのは、途中で休みたくなったときに、元へ戻す負担も少なくするためです。引き出し一段でも多く感じるなら、その手前の一角まで範囲を小さくしてかまいません。
選んだ場所では、まず残したい物と必要な物を確かめます。そのうえで、入れる量や置き方、ラベルなど、困っている点に合う方法を一つ試してみます。重い物や高い所の作業は、手伝いを頼むことも含めて進めます。
使ったあとは、必要な物を選べたか、元へ戻せたかを確認します。戻しにくさが残ったら、収納の空き具合や、分け方、置き場所をもう一度見直していきます。
私も、取説のケースで出し入れが楽に感じられたことを手がかりに、探しやすく、戻しやすい収納を整えていきたいと思っています。
この先も残したい暮らしや、大切にしたい物のために。まずは「ここが扱いやすくなったら助かる」と思う小さな場所を、一つ選ぶところから始めてみてください。

